収入が少なくて、生活がかなり苦しいという人の家計を見てみると、携帯電話代で1万円近く払っている人がたくさんいます。今の時代はスマホのない生活は考えられませんが、スマホの通信費に高額な料金を払う時代でもなくなりました。
MVNOといって、3大キャリアの回線を利用して格安で電話やインターネットを利用できるサービスを提供している通信会社がたくさんあり、月額の携帯電話代を半額以下にまで抑えることもできます。
それは分かっていても「よく分からないから今のままで」という人も多いかと思いますので、ここではMVNOがどのようなサービスで、メリットやデメリットがどこにあるのかを詳しくご紹介していきます。
MVNO・格安SIMとは
まずはMVNOや格安SIMについて、分かりやすく説明しておきます。
スマホや携帯電話は、au・docomo・Softbankそして2019年の秋からは楽天モバイルがそれぞれに基地局と呼ばれるアンテナを巡らせて、通信環境を整えています。それらの設備投資にはもちろんお金がかかりますので、それらの費用を回収するために通信環境のレンタルをしています。
そのレンタルされた通信環境を使っているのが、MVNOや格安SIMと呼ばれる通信会社になります。MVNOや格安SIMは自前で通信環境を整える必要がないだけでなく、徹底したコスト削減を行うことにより基本料金などの通信費を下げています。
それでは利用者がみんな、MVNOや格安SIMに移ってしまうではないかと思うかもしれませんが、大手キャリアほどのサポート体制がないなどのデメリットがあり、何よりも「よく分からない」という理由で避けられている実態があります。
ということは、MVNOや格安SIMについてきちんと理解できれば、移行するための心理的な壁はなくなるということです。そこで、次章以降でMVNOや格安SIMにどのようなメリットやデメリットがあるのかをご紹介していきます。
MVNO・格安SIMのメリット
- 通信費用が安い
- 料金プランがシンプル
- 縛りが緩い
- いま使っているスマホをそのまま使うこともできる
MVNO・格安SIMのメリットはこの4点です。それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
通信費用が安い
格安SIMと呼ぶくらいですから、通信費用はもちろん格安です。最近は3大キャリアの通信費用も下がってきましたが、端末代を差し引いたときの平均は7,000円程度です。これに対して格安SIMの場合がどれくらい安いのか見ていきましょう。
楽天モバイル(2GB):月額1,480円
LINEモバイル(3GB):月額1,690円
OCN モバイル ONE(3GB):月額1,800円
マイネオ(3GB):月額1,510円
なんと、いずれも月額料金が2,000円以下に設定されています。外で動画をたくさん見るという人は、2GBや3GBでは全然足りないと思うかもしれませんが、正直なところそういう人は格安SIMには向いていません。
でも、実際には90%の人が3GB以下で、70%の人が1GBも使っていないという調査結果があります。ということは普通に使う分には、これで十分だということが分かってもらえるかと思います。7,000円が2,000円になるなら、毎月5,000円も貯金できます。
1年で6万円ですので、海外旅行に行けてしまいます。2年に1回のペースで最新のiPhoneに買い替えることもできてしまうわけです。月額料金だけを考えれば、格安SIMに変えない理由はありませんよね。
料金プランがシンプル
3大キャリアは料金プランがとても複雑です。分かりやすいプランも出てきましたが、古いプランも残っていて、どれを選んでいいのかまったく分からず、ショップで勧められるがまま契約したという人も多いかと思います。
でも格安SIMはかなりシンプルで、データ使用量に合わせて選ぶだけです。例えば楽天モバイルの場合には次のようになっています。
プランS(2GB):1,480円
プランM(6GB):2,480円
プランL(14GB):4,480円
プランLL(24GB):5,480円
この中から自分に合ったプランを選ぶだけです。気をつけたいのは大容量プランで、これだけの大容量になると3大キャリアとそれほど金額が変わらなくなります。格安SIMは1ヶ月に2〜3GB程度しか使わない人のための選択肢だと考えてください。
縛りが緩い
3大キャリアは2年縛りや3年縛りがありますが、格安SIMのほとんどが6ヶ月〜1年の縛りしかなく、1年使えば別の格安SIMに乗り換えるといったことが可能です。このため、条件のいい格安SIMにどんどん変えていくということもできてしまいます。
そうならないように格安SIMを提供している会社も、サービス内容を強化していますので、年々使い勝手が良くなっているのも嬉しいところです。
いま使っているスマホをそのまま使うこともできる
格安SIMは3大キャリアの回線を使っていますので、移行するときに現在のキャリアの回線を使っている格安SIMを選べば、端末をそのまま利用することができます。例えば、auのスマホを使っていたなら、mineoやAEON MOBILE、BIGLOBE SIMなどを使うことで、端末を再利用できます。
いま使っている端末がiPhoneならSIMロック解除することで、ほぼすべての格安SIMが使えるようになります。同じ端末を使えるということは、操作で戸惑うこともありませんし、初期費用を抑えることもできます。格安SIMへの移行の場合には、このようなメリットもあります。
MVNO・格安SIMのデメリット
- サポートがほとんどなく最低限の知識が必要
- 時間帯によっては混み合う
- 通話が多い人は高くなることもある
- キャリアメールが使えなくなる
メリットの多い格安SIMですが、もちろんデメリットもあります。そうでないと3大キャリアよりも安くサービスを提供するなんてことできませんよね。代表的なデメリットが上記の4点です。それぞれについてこちらも詳しく説明していきます。
サポートがほとんどなく最低限の知識が必要
楽天モバイルなど、一部の格安SIMでは店舗があったりしますが、それでも3大キャリアと比べると圧倒的に店舗数が少なく、使い勝手がいいとは言えません。これまでドコモショップなどを頼っていた人にとっては、これはかなりのデメリットになります。
格安SIMを使う場合には、初期設定も自分で行わなくてはいけません。周りに詳しい人がいればお願いすることもできますが、基本的には自分で知識を持っておく必要があります。それほど専門的な知識が必要なわけではありませんが、スマホの設定を自分でしたことのない人には、高いハードルになるかもしれません。
時間帯によっては混み合う
格安SIMの費用が安いのは、3大キャリアが安い価格で回線をレンタルしているためです。ところが、レンタルする条件として1社ごとに割り当てられた通信量に制限があります。
分かりやすく説明すると、例えばdocomoの回線は5車線の道路だとします。格安SIMにはこのうち1車線をレンタルします。1車線しかありませんので、みんなが利用する時間帯は渋滞が発生して、本来の速度を出せなくなります。
ところがdocomo契約者はすべての回線を利用できますので、多少スピードは落ちても、ほとんどストレスなく利用できます。このように、時間帯によって回線がとても重くなることがあるのが、格安SIMのデメリットになります。
通話が多い人は高くなることもある
3大キャリアの多くが、カケホーダイのような定額で電話できるプランを用意しています。ところが、格安SIMの場合にはほとんどが「10分無料」といったプランになっているため、長く電話をする場合には電話代が高くなり、トータルの出費も上がってしまいます。
最近はほとんどの人がLINE電話などの無料通信アプリを使っているので、不便に感じることはないと思いますが、仕事でスマホを使っていて、頻繁に電話をかけるという場合には、必ずしも安くなるわけではないということを頭に入れておきましょう。
キャリアメールが使えなくなる
こちらも、すでにデメリットというほどではありませんが、3大キャリアから格安SIMに移行するとキャリアメールが使えなくなります。キャリアメールでサイトなどに登録している場合には、Gmailなどに移行が必要になり、少し手間がかかってしまいます。
もっともキャリアメールそのものがすでに下火になっているサービスですので、これを機にLINEなどに切り替えることをおすすめします。
MVNO・格安SIMはこんな人におすすめ
年収が少ないなら、何も考えずに格安SIMを使うことをおすすめしますが、それによって通信量が上がってしまったら意味がないですよね。そこで、ここでは、どんな人なら思い切って格安SIMにしたほうがいいのかについてまとめておきます。
- 電話での通話はほとんどしない
- 1ヶ月のデータ使用量が3GB以下
- キャリアメールはほとんど使っていない
- 回線が遅い時間があってもイライラしない
- スマホを家に忘れてもそれほど困らない
スマホがないと何もできない。移動中についつい動画を見てしまう。といったスマホに依存するタイプの人は、おそらく1ヶ月3GBという容量では足りないかと思います。すでに毎月ギガ不足で悩んでいる人は、3大キャリアがおすすめです。
そうではなく、スマホなんてなくても何とかなる。ときどき家に忘れてきてしまうといった人なら、格安SIMにしてもまったく問題ありません。むしろ、今すぐにでも格安SIMに乗り換えることをおすすめします。
ただし、3大キャリアは縛りがありますので、タイミングによっては違約金が発生します。ですので、基本的には違約金が発生しないタイミングでの乗り換えをしましょう。ただし、1万円程度の違約金なんて格安SIMに切り替えれば数ヶ月で取り戻せます。
あと2〜3ヶ月で更新月になるというのでなければ、自分が乗り換えたいタイミングで格安SIMに切り替えてしまうほうがお得です。
まとめ
格安SIMは仕組みがよく分からないし、手続きも大変そうということで、乗り換えしないという人もいますが、年収が少ない人にとっては「使わない理由がないサービス」です。ここで面倒だと思ってしまうと、将来に渡って無駄な出費が増えてしまいます。
1度だけの手続きで、毎月5000円近くも生活費に余裕が出てきます。1年間で6万円だと考えると、決して小さな金額ではないことが分かってもらえるはずです。こういう部分できちんと節約できるかどうかが、低収入でも生活していけるかどうかの鍵を握ります。
最近は格安SIMでも店舗を構えていたりして、乗り換えしやすい環境が整いつつあります。分からないことは丁寧に教えてもらえますし、最適なプランを提案してもらえますので、電話代を少しでも抑えたいという人は、ぜひ格安SIMへの乗り換えを検討してみてください。